古家具という入り口から拡がるあたたかな世界 | 古家具/雑貨ノ壱に堂
秩父から出店の壱に堂さん。代表の姉妹のおふたり(姉:ゆきなさん、妹:りおなさん)に今回の出店を通じて感じていることについてお話を伺いました。古道具の扉を開いた奥に浮かび上がる、お二人が目指す、「あたたかい繋がり」への想いがありました。
祖父母の建材屋の跡地で始めた「古道具の壱に堂」
ひさいしお店の呼び方は「いちにどう」ですか?
壱に堂「古家具の壱に堂」とありますが、長いので「いちにどう」で。(笑)
梅澤お店を始めたきっかけは?
壱好きなものが一緒だったんです。お店を始めて1年ちょっとになります。自分たちの出産が落ち着いた後、いろんなタイミングが重なった感じです。祖父母が元々建材などを取り扱っていたお店を営んでいたんです。祖父が亡くなったタイミングでその空間を使うことになったんです。
梅ふたりが好きなものが一緒だと、一緒に色々なお店に行ったりもするの?
壱ふたりに子どもができる前には一緒に色々なお店をまわっていました。ただ、子どもが生まれてからは、なかなか難しくて。笑
ひ今はご家族みんなで営業されているんですか?
壱そうです。
ひ)今日も総出で出店してくれて!何人いたんだろう?
壱10人です!笑
梅10人!?なんだかとてもにぎやかで、楽しんでいただけたようで嬉しいです!(笑)そうそう。「壱に堂」は、どなたが考えたんですか?
壱元々は違う数字を使った名前を考えていたんです。でも、途中でお父さんからのストップが入っちゃって。(笑)
梅お父さんが出てくるんだ!(笑)
壱そうなんです。(笑)ワン・ツー・ゴー?? イチ・ニ・ゴー?いち、にー、どー!の掛け声みたいな。(笑
イベントで「壱に堂」を再現しよう
ひoffLineとのつながりは何がきっかけだったんですか?
梅最初はRogueから「おすすめの古家具屋さん」ってことで勧められたんだよね。梅澤はノーマークだった。(笑)インスタも見たら、女性らしさが伝わってきて、温かい感じだなと。女性二人でやられているのに納得しました。
壱嬉しいです!
梅深谷駅のoffLineで5月に開催するつもりだった初回の[Off。]の開催自体を、壱に堂さんの参加が難しいということで見合わせたんだよね。その後、リスケした8月の[Off。]でも参加が難しくなっちゃって。だから、本当に今回は念願がかなった形。
ひ想いが届いたんですね!今回のイベントのお誘いを聞いたときどうでしたか?
壱ぜひ参加したいと思っていて。前々からイベントのお誘いはあったのですが…。実はイベント出店自体は今回が初めてなんです。
ひこれまでにイベント出店を考えたことはなかったんですか?
壱出店してみたいねー…という話はしてました…。(笑)
梅……荷物が多いものね!!
壱そうなんです。勝手はわからないけど、憧れはありました。今日は、お店とはまた違って、いろんなひとに見ていただいて、ここからまたご縁が広がっていくのかなぁとワクワクしました。
ひ今日はたくさんの雑貨商品を持ってきてくれましたが、他の古家具屋さんのときに、こんなに商品数が多いことって今まであるんですか?
梅出店される古家具屋さんの判断になってしまうので、スペースももう少し小さい予定だったけど、もう少し持っていっていいか?って聞かれて、とても嬉しかった!それは、お客さまにとってもいいことだし。
壱壱に堂を再現しようとおもったら、こんなに多くなってしまって。(笑
ひちゃんと、壱に堂さんの空間になってましたね!今後も出店は続けていきますか?
壱今後もお声がけいただけたら出店していきたいですね。
梅引き続き、Off。にも出てください!
特別なことではない「お茶出し」の文化
ひそういえば、お店に行ったときにお茶を出していただいたんですが、今どき珍しいのかなと思ったのですが、こだわりがあるんですか?
壱元々、祖父母が商いをしていたときに、お茶を出していたから、その習慣が残ってる感じです。商品もゆっくり観てもらいたいから、続けてみようかと思いました。
梅確かに業種が違ったら、当たり前のようにお茶を出すよね。Rogueが最初にお店に行ったときも「お茶を出してくれたのー!!」と感動していたよ。
ひ古家具に座ってお茶を飲めるというのがすごく良くて、昔の椅子って座り心地がいいんだなとか、いろいろなことを感じました。
梅自分もバリスタだけど見習おうかな。でも、コーヒー飲まないで帰っちゃったりして。(笑)
自分の町を大切にそれぞれの活動を届ける
ひところで、お店づくりに影響を受けてきたものってありますか?
壱特になくって。(笑
梅言い切れるってすごい。(笑)
壱多分、目にした雑誌とか、経験してきたものが記憶として残っているものを、還元しているのかもしれないです。姉妹揃って同じものが好きだというのも、お互いなんとなくわかるというか。例えば、服とか家具とかは「この系統が好きそう」とか。
梅ブランドとかの区切りではない、ということだよね。
壱「モノの持っている雰囲気」で区切りができるというような感じですね。
梅なるほど。意図をせずに、影響を受けないようにいられることがすごい。
壱「同じものが嫌」というのが根底にあるんですよね。カブるのが嫌。(笑)もしかしたらそういうのも関係しているのかも。
ひ梅澤さんからも「同じものが嫌」というのを感じますね。日々近くでそれを強く感じているので。(笑)
梅自分が飽きるのが早くなっちゃうっていうか。結局、かっこいいなと思って同じことをやるんだけど、自分が飽きちゃう。ところで、好きなお店とかはありますよね?え?好きなお店とかもない?(笑)
壱ありますというか、カテゴリーとしての好き嫌いがある感じです。古家具に限って言えば、そもそも一点ものの商品なので、「古家具屋さんが好き」という感覚でいます。
自分の町を大切にそれぞれの活動を届ける
ひ今後はどういうお店にしていきたいというイメージはあるんですか?
壱それは課題でもありますね。今までやっていなかった店内ワークショップをしてみたり、買ったもので子供と母親が楽しめるような空間を考えています。ちょっとずつ変えていきたいなと模索中です。
梅こども服も扱ってますもんね。
壱古家具だけだと、目的が家具だけに絞られるので、入りづらかったりするじゃないですか。老若男女、子供だとしても、飽きずにいられる空間が理想なんです。いつ来ても好きなものがある、古家具以外にも手にとってもらえるものがある環境が理想ですね。
ひ壱に堂さんの「好き」が詰まった空間なんですね。
壱そうですね。古家具だけじゃなくてもいいなと思っていて。例えば、籠を探しに行ったけど、この籠とこの古家具がマッチするという「発見」をしてもらえるのが良いなと。うちを知ってもらえるきっかけはなんでもいいんです。家具じゃなくていい。間口は広くていいんです。
梅ジャンルが拡がるという意味では、off。のコンセプトと似てるんだよね。今回のイベントにいらっしゃったお客様の中でも、何も手に取らなかったかもしれない。でも、もしかしたら、あそこに行けば好きなものがあるかもという「つながり」ができたらいいなと思っている。「類友」のような感覚。だから壱に堂さんの好きなものが、off。の好きなものと似ているという感じを大切にしたいんだよね。ところで、反対に、二人で合わないものはあるの?
壱・・・髪型?(笑)
ひ言われてみれば!(笑)
(見つめ合って沈黙)
梅他にはなさそうだね。(笑)
ひ家族でお仕事をやっていく難しさを耳にすることも多いですが、その難しさを感じないですね。
壱大変さはありますが、家族だからこそ言えることもあったりするので、一丸となってやってます。
梅なんだか、あったかいって感じだよね。(笑
ひ雰囲気がいいんですよね。だから、お店の居心地もいい。
梅それで、お茶を出されたらたまらない!まだまだ、話したりないですが、続きはお店に行ってルイボスティーを飲みながらにしましょう。(笑)またお会いできるのを楽しみにしてます!
編集後記
Off。Chapter2の開催当日、たくさんの商品を設営の段階から積み下ろし始めた壱に堂さん。ご家族総出で賑やかに設営をする姿に、昔の大家族での生活の「息遣い」を感じました。 大人たちの設営を横目に、お二人の子どもたちも、緑の豊かなMIMONOさんの空間で、早い時間から楽しそうに追いかけっこに興じていました。これもまたひとつの屋外イベントの楽しみ方です。
イベント終了後から撤収開始までの短い時間の間でのインタビューでしたが、「重なり」を確認し合うような会話が生まれました。壱に堂のお二人は、「ものさし」に縛られていないようです。自分たちの「好き」さえも、ルールとせず、飛び越えていく感覚。古い「お茶出し」の習慣さえも、偏見なく続けられる軽やかさ。お二人は古家具を通して、まったく違う世界を見ているのかもしれません。
他人同士が違うものを見ていても、実は深く潜っていくなかで同じことを感じていることってあると思います。それを言葉として確認しあうこと自体に意味を感じたインタビューの時間となりました。
インタビュアー:ひさいしまいこ
本文編集・編集後記:飯野泰弘
プロフィール | 古家具/雑貨ノ壱に堂
埼玉県秩父市にて古家具を中心に、衣類、雑貨を取り扱う「壱に堂」を姉妹で営む。イベント出店は今回が初。